オオシラビソの原生林を抜けて関東以北の最高峰へ

丸沼高原から日光白根山

白根山と五色沼日光白根山の盟主で、関東以北最高峰の日光白根山(2578m)は、栃木県側では奥白根山や女体山、丸沼高原側では荒山という別名を持つ。本コースは、賽の河原、六地蔵、血ノ池地獄、大日如来などの地名からも分るように古き信仰の道だ。オオシラビソの深い樹林と岩峰を縫ってたどる山道沿いには高山植物も多い。山頂に立てば、まさに名峰にふさわしい360度の大展望が広がる。


ヒカリゴケ・〜・
 なだらかな樹林の道を経て、急峻な地獄薙から君待岩へ
 沼田駅から大清水または鎌田行きのバスに乗り鎌田で下車。丸沼高原行きのバスに乗り継ぎ終点で下車すると、ゴンドラ山麓駅が見える。すぐ手前の停留所はペンション村で、ここに前泊しておけば早朝立ちができる。
 ゴンドラ山頂駅を降りれば標高2000m。案内板で目前にそびえる山塊のルートを確認したら、早めに南道へと踏み出そう。
 散策コース展望台分岐の衝立岩の直下から細い道となる。針葉樹林に群生するカニコウモリを見ながら進むうちに血ノ池地獄南分岐にでる。急な登りにひと汗かくころ、立ち枯れの疎林越しに主峰の雄姿が見えてくる。ほどなく大日如来を過ぎ、七色平南分岐に到着する。七色平は往復5分ほどで、装束避難小屋があり、原生林の中に小湿原が広がる。シカ対策の電気柵の中では、ハクサンフウロ、シナノキンバイ、ワタスゲなどが静かに咲いている
 オオシラビソがダケカンバやミヤマハンノキに変わる頃、近年手入れがされた新道の分岐を過ぎ、道はさらに急登になり地獄薙に出る。岩肌にはツガザクラやイワヒゲがへばりついている。
 ガレ場の横断と直登を2回繰り返すと、眺望のいい君待岩に到着する。見上げれば荒山の岸壁、振り返れば目前に上州武尊山、至仏山、燧ケ岳も手にとるよう。後方には越後駒ケ岳、谷川岳、草津白根山、噴煙を上げる浅間山も見ることができ、高山を実感する。

日光連山・〜・ 噴火口から山頂を極め、神秘の湖・弥陀ヶ池へ         
 落石に注意し、コメバツガザクラを楽しみながら、砂礫の斜面を登っていくと、ヒメシャジンの紫の花が頂上が近いことを教えてくれる。やがて傾斜も緩くなったころ、シラネニンジン、イワカガミ、ミヤマコウゾリナなど彩りの良いお花畑に着く。
 ひと登りで火口原の内輪尾根に出ると、南峰は目前。奥白根神社を左に見て急降下し、再び登り返すと四方さえぎるもののない絶景の日光白根山の山頂に到着する。御釜の下にはエメラルドグリーンの五色沼、外輪山の前白根山の向こうには光り輝く中禅寺湖、男体山などの一家の山々。左に那須連峰、会津駒ケ岳、遠くには飯豊連峰。振り返ると、皇海山と赤城山。遠く、北アルプスや八ヶ岳、南アルプス、富士山も望める。足下の残り少ない草地にはトウヤクリンドウやハナイカリ。ガンコウラン、コケモモなどの矮小低木も多いので、休憩の時は注意して腰を下ろしたい。
 昼食をすましたら、足場を確実に踏みしめて慎重に崖を降りよう。北峰に登り返したら、砂礫混じりの急斜面を下っていく。落石に十分注意したい。緩斜面になってハクサンシャクナゲのトンネルを抜けても、もうひと下りあるので要注意。
 ハンゴンソウが群生する座禅山の鞍部まで下れば、すぐ弥陀ヶ池に到着する。水位の安定したこの池は座禅山の噴火でできた池だが、新噴火口は別にある。池の解氷間もないころは、透明な水中に、アケビ形の白いクロサンショウウオの卵塊が妖しく揺れている。座禅山の東斜面にはかつてシラネアオイの群落があったが、今は電気柵の中でひっそりと咲いている。大群落復活を願い。地元有志が復元作業をしている。

ハクサンシャクナゲ・〜・ ダイモンジソウ咲く沢を下り、静寂の六地蔵から山頂駅へ
 鞍部まで戻り、苔むした原生林の沢を一気に下るが、荒れて滑りやすくなっているので注意したい。近年、座禅山を経て下る道も手入れされたので、沢の道の今後の状況次第では、こちらの方が安全かもしれない。
 七色平北分岐に着いたら右に進む。座禅山分岐を左に折れ北道に入り、血ノ池地獄北分岐に出る。血ノ池まで2分で、赤茶けた池の周りにはバイケイソウの群生する草原がある。分岐まで戻り、動物の臭いのする沢筋をだらだらと下る。ゴンドラ分岐を過ぎると間もなく、少し開けた樹林の中に六体のお地蔵さまがよもやま話でもするかのように円く並んでいる。この付近を賽ノ河原というが、静寂のオオシラビソの山中には、その存在を誇示するかのように、時折シカの鳴き声だけが響いている。
 ゴンドラ分岐へ戻り、標高差40mを登れば、展望台西分岐を経て南道六地蔵分岐に出る。そのまま下ればゴンドラ山頂駅に到着。振り返ると、日光白根山が妙に身近に思えるのが不思議だ。午後の光に垂直の岸壁が際立って輝きを見せている。
〈写真は平成13年7月撮影、上から白根山と五色沼、ヒカリゴケ、日光連山を望む、ハクサンシャクナゲ〉
日光白根山登山地図


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